霊山寺・一本松公園ハイキングコースで歴史と自然を楽しむ

2020年4月2日

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霊山寺・一本松公園ハイキングコースとは

霊山寺・一本松公園ハイキングコースは、静岡市葵区と清水区の境にあるハイキングコースです。
中腹には古い歴史を持つ霊山寺(れいざんじ)、山頂には一本松公園が整備されており、また稜線上を南に進めば梶原山公園までハイキングすることができます。

とても見晴らしが良いことに加え、地元の方々が周辺の環境整備をしてくださっていることもあり、様々な自然を楽しむことができるルートです。

霊山寺参道を登る

このハイキングコースは、中腹までは霊山寺の参道を登っていくことになります。

霊山寺とは

鷲峰山 霊山寺は、大内観音の別名でも知られる、古義真言宗のお寺です。
天平勝宝元年(749)、行基によって創建されたとのことです。
大内観音と言われていることからも分かるように、本尊は千手観音菩薩。
この千手観音像は行基の作といわれているようです。

仁王門は戦国時代前期の建物で、国の重要文化財(中の仁王像は江戸時代のもの)、本堂の鰐口は県の文化財に指定されているそうです。

つづら折りの参道を登る

登り口は墓地の中から始まります。
登り口の横には「霊山寺(登り約15分)」との立て札。
また、その横に登山用の竹でできた杖も用意してくれてありました。
杖があるとはなかなか厳しい道中なのかな?
覚悟を決めて、さあ出発です。

参道は、はじめはいかにもお寺の参道らしい直線の石段でしたが、すぐにつづら折りの石段に変わっていきます。
一直線の参道をつけるのが難しいほど急な傾斜ということでしょう。

また、スタート付近の道の脇には、石仏とともに「一丁目」と書かれた町石もありました。
なお、この町石のゴールは仁王門前で「五丁目」でした。
残りの道のりが想像できて、登っていく際の励みになりました。

手作りの植物解説と鳥の餌台

参道を登っていくうちに、道の周辺に植えてある草花に写真付きの解説カードがついていることに気づきました。
私が訪れたのは2月で、花はほとんど咲いていませんでしたが、どんな花が咲くのか写真から想像ができました。

また、花だけではなく紅葉の美しい木には、その一番きれいなときの写真が添えられているなど、この草木がきれいなときにまた来たいなぁと思わせるものでした。

その他、所々に野鳥の巣箱や餌台、水飲み場なども設けられていました。

実際、霊山寺境内にあった餌台にはヤマガラと思われる鳥が何羽も来ていましたし、時には野鳥が人の手から直接餌をもらいに来ることもあるそうです。

また、参道の途中には、「仁王の力石」と呼ばれる石もありました。
仁王の足跡がついたといわれる石で、この坂を上る際にこの足あとを踏むと足の疲れが直ると言い伝えられているそうです。

ただこの石、劣化が激しくなってしまったとのことで、地元の同級生がお金を出し合って再現したものだそうです。

このように、地元の方々の様々な思いがこもっていることが感じられる、登っていてとても楽しい参道でした。

茅葺の仁王門

やがてつづら折りの参道の先に茅葺きの屋根が見えてきました。
重要文化財の仁王門です。

仁王門に関しては永正13年(1518)2月8日の棟札写しが残っており、仁王堂が朝比奈福寿庵恵妙の寄進によって再建されたこと、大永5年(1525)にも再建されたことが記されているそうです。
いずれにしても、戦国時代前期の建物のようです。

中に安置してある仁王像は江戸時代のものとのことですが、ユーモラスな表情が愛らしいです。

また、振り返ると清水の市街地が一望でき、海を挟んで伊豆半島までくっきりと見えます。
参道の途中からも比較的眺望は良いのですが、仁王門からの眺めはまた格別でした。
まあ、春になって木々に葉が茂ってくると、この風景は見にくくなってしまうかもしれません。

霊山寺境内

霊山寺本堂は江戸時代中期の明暦6年(1756)の再建で、元々は茅葺きの建物だったのを昭和9年(1934)に銅板葺きに変えたものだそうです。

ここのお堂に安置されている、本尊の行基作といわれ る千手観音菩薩は、15年ごとに開帳されるとのこと。
また、天井には庵原三山の一人と言われた山梨鶴山筆の龍図があるそうですが、こちらも普段はなかなか見るのは難しそうです。

なお、本堂に向かって左手奥にはトイレもあります。
一本松公園まではまだ道のりは半分なので、必要な方はここで済ませておきましょう。

一本松公園への楽しいハイキングコース

本堂で、清水の町並みや餌台に集まる野鳥を眺めて休憩したら、一本松公園へ向けて出発です。
本堂の向かって右側から続きのハイキングコースが始まっています。

ハイキングコースの様子

霊山寺までの参道が、基本的に石段になっていたのに対して、後半のコースは普通の山道になっています。
道はしっかりしており、危険はほとんど感じませんでしたが、比較的急な登りもありました。

「札所」と「脳トレクイズ」

そんな山道の脇にも、番号が書かれた立札を発見。
「札所」と書かれた手作りの立札は、霊山寺から50メートルほど進んだところにある1番から一本松公園の直前にある15番まで、およそ50~100歩程度の間隔で設置されていました(間隔はもっと長いところもある)。
しかも面白いのは、この札ごとに「脳トレクイズ」と題したなぞなぞが出題されていること。
なお、クイズの答えは次の札所に書いてあります。

時には急な登りもあり、ただ歩くだけなら意外としんどい山道も、このなぞなぞでかなり気がまぎれました。
本当に、ここまで気を使って整備して下さっている地元の方々に感謝です。
ただ惜しむらくは、なぞなぞの問題や札所そのものがいくつか失われてしまっていたこと。
でも、次回登ったときは新しい問題に出会えることに期待しましょう。

一本松公園へ

霊山寺から30分ほど登っていくと、急に視界が開けます。
稜線に到着です。
ゴールの一本松公園も、もうすぐそこに見えています。

ちなみに、この稜線を一本松公園とは反対側に進むと、梶原山公園まで行くことができます。
今までの登りの道に比べ高低差は少なく、快適なハイキングコースになっています。
こちらのルートに関しては、また次の機会に紹介させていただきますね。

一本松とは

ところで、「一本松公園」の名前の元になった一本松とはどこにあるのでしょうか?

この一本松とは、この山(帆掛山)の頂上にあった巨大な松で、清水港に入る漁船が目印にするほど遠くから見えるほど大きかったのだそうです。
ただ、ある時期に理由は分かりませんが枯れてしまったとのことで、現在は残念ながら残っていません。

ハイキングコース登り口の駐車場付近に、この松を使って作ったといわれる臼が展示されていました。
それを見ると、一本松の大きさの一端をしのぶことができるでしょう。

その後、旧静岡市と旧清水市が共同でこの地に公園を作った際、かつて地域の方々の誇りだったと思われる一本松をその名称にしたのは、なかなか粋なネーミングだったのではないかと思いました。

一本松公園の眺望

一本松公園は、帆掛山山頂周辺に整備された公園です。
なお、帆掛山の標高は304.2メートル。
西側は静岡市葵区瀬名地区の町並みが、一方の東側は富士山から清水港の興津・袖師ふ頭、清水中心部の町並みから三保半島、現在発展の著しい草薙の高層マンション群越しに有度山(日本平)の山塊、さらに静岡市駿河区の家並みまで望むことができます。

一本松公園の様子

一本松公園のある帆掛山の山頂周辺は、比較的平たんな部分が広がっています。
その周辺にテーブルやベンチ、四阿などが点在しています。
絶景の中、お弁当を食べるにはもってこいの環境です。

また、少し歩きますが、トイレと駐車場もあります。
実は葵区瀬名地区方面や清水区の柏尾峠から一本松公園の近くまで、車で登ってくることができるのです。
そのため、夜景を楽しみに訪れる人たちもいるようです。

ただ、この眺望に感動できるのは、自分の足で登ってきてこそのものではないかと思います。

霊山寺・一本松公園ハイキングコース 交通・駐車場案内

霊山寺・一本松公園ハイキングコースへは、県道67号線(通称北街道)大内交差点を北西方面に曲がり、道なりに2キロほど進んでいきます(道標もあります)。
住宅地に入り、Y字路が見えたら左手に進みます(一応「←霊山寺」という案内は出ていますが、少し見にくいです)。
その後、墓地が見えてきたら、その左側に7台ほどの駐車スペースがあります(無料)。
途中、道が若干狭いところがあるので注意してください。
なお、駐車スペース近辺にトイレもあります。

なお、一本松公園へのハイキングコースは、今回ご紹介した霊山寺を経由するルートのほか、押切(風の子保育園近く)・高部(鴨田橋)・柏尾峠などからのルートもあります。
ただ、柏尾峠以外は周辺に駐車スペースも無いため、車で訪れるのは難しいと思います。

まとめ

ということで、道中も楽しく、眺望もお弁当を食べる環境も大満足の霊山寺・一本松公園ハイキングコースでした。
独断と偏見でまとめると以下の感じでしょうか。

大変さ   ★★☆☆☆
道の状況  ★★★★★
眺望    ★★★★★
病みつき度 ★★★★☆

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